亀岡エシカルツアー開催レポート

2023年12月、エシカルビューティーズ企画で「亀岡エシカルツアー」を開催しました。

場所は京都の嵐山の奥に位置する「亀岡市」。

亀岡市は全国で唯一「プラスチックごみゼロ宣言」を発令し、市内でプラスチックバッグを提供することが「条例で禁止されている」自治体です。

SDGs先進都市でもある亀岡市が「なぜ」このような取り組みを行い始めたのか、そして現在「どんなエシカルな取り組み」を行っているのか。

これらを知って体験するツアーを企画させていただきました。

日程は2日。

1日目は「出雲大神宮」に行き、亀岡の成り立ちについて知った後、亀岡のエシカルと深い関わりのある「パラグライダー」を体験しました。

2日目は「かたもとオーガニックファーム」でエシカルな取り組みを聞きながら野菜を収穫。その後「保津川下り」の理事長のお話を聞いて、実際に川下りをするという内容です。

それぞれの日の詳細は以下の通りです。

1日目。まず私たちが向かったのは亀岡市北部に位置する出雲大神宮。今の亀岡の成り立ちを知るためにやってきました。

出雲大神宮は旧国「丹波国」の一の宮神社で、島根県出雲大社の元祖とも言われています。

昔は亀岡の地は丹色(にいろ)の湖が広がっていたそうですが、今は湖ではなく、写真のような盆地が広がっています。

なぜ湖が盆地になったのか?は歴史を遡ると紐解くことができます。

日本神話で日本の国造りを行った神、「大国主命」がいますね。大国主命は出雲大神宮に祀られているのですが、亀岡市に溜まっている水を見て、この水を京都まで流そう、ここに豊かな土壌を作ろう、と指示したことが始まりだと言われています。その彼の発言を機に、人々は亀岡市の保津という場所を掘削し開墾することを行いました。

そして今現在のような広大な盆地が出来上がります。

今では亀岡市には「保津川」という川が流れており、その川を下って嵐山や京都、大阪までつながっています。

詳しくは後述しますが、この保津川、エシカルにとても関連のある場所なのです。

次はパラグライダーです!亀岡市のエシカルと関係の深い「パラグライダー」を実際に体験しました。

亀岡市、パラグライダー、そしてエシカル。

この3つはどう関係あるのかを説明するためにはまず、亀岡市の特徴を知っていただきたいと思います。

特徴 盆地のため気流が安定している

亀岡市は前述の通り開墾されて湖だったものが盆地になりました。この地形は気流がとても安定しやすく、パラグライダーや気球などを楽しむのに最適な場所だと言われています。週末などは実際にパラグライダーが飛んでいる姿を見ることができます。

パラグライダー生地は数年ごとに検査があるため、廃棄に繋がりやすいものなのですが、それをゴミとして捨てるのではなく、アップサイクルして使い続けようというプロジェクトが立ち上がりました。2019年のことです。

以来、パラグライダーは「エコバッグ」として生まれ変わっています。パラグライダーに使われている生地はとても丈夫で、バッグには適しているのだとか。パラグライダー体験中、実際に生地を触らせていただきました。

亀岡市内にはアップサイクル工場も整備されています。アップサイクルされたバッグは、もちろん市内で購入することができます。

2日目、まず行ったのは「かたもとオーガニックファーム」さん。かたもとさんが取り組まれているエシカルな取り組みについてお話を聞きながら、野菜を収穫しました。

かたもとさんは亀岡市内の農家さんで、通常の農家さんとは違う「独特な方法」で野菜を販売されている方です。また名前の通り、農薬などを使用せずオーガニックで野菜を育てられています。

かたもとさんが行われているエシカルな取り組み、2つをご紹介します。

取り組みその1 独特な野菜の販売方法

かたもとさんの野菜の販売方法がとても独特でエシカルなのです。

一般的な農家の野菜の販売方法ですが、野菜を収穫して「袋詰め」にし、その野菜をどこかまで「持っていく」ことが通常だと思います。

しかしかたもとさんはその方法を行いません。基本的に野菜を皆さんに「取りに来ていただく」販売スタイルにされています。

袋詰めをしない = 袋のゴミが出ない ですし、野菜を取りに来ていただく = 野菜を出荷するまでのCO2排気や野菜そのもののロスが生まれない ですね。

取り組みその2 コンポスト事業

ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、九州の黒川温泉は温泉旅館共同のコンポストを作っており、その取り組みなどが注目されています。亀岡市も黒川温泉と同じような取り組みを行っています。

市民が集めた庭の草や木、公園の葉っぱや落ち葉。従来はこれらを焼却処分していたのですが、2023年4月から焼却しない「資源」として分別されるようになりました。

集められた落ち葉や葉っぱ、草木は一部かたもとさんの畑に持ち込まれ、堆肥として使われています。

オーガニックで育てられたとても美味しい野菜を収穫させていただきながら、このようなお話をお伺いしました。

最後に向かったのは保津川下りさんです。理事長豊田さんから、保津川下りのエシカルな取り組みについてお話を聞き、その後は実際に保津川下りを行いました。

保津川下りとは亀岡市を流れている川(保津川)を船で下る観光川下りです。

約2時間で亀岡市から京都の嵐山まで、舟で下ることができます。

一見普通の観光スポットなのですが、亀岡市と協力しながらとてもエシカルな取り組みをなさっています。その内容について、理事長の豊田さんからお話を伺い、みなさんで実際の川下りを行いました。

エシカルな取り組みの始まりは観光客の方からのクレームだったそうです。

「川下りなのに僕たちはゴミの景色を見せられているのか」

「なぜ綺麗な川ではなく汚い川を見させられるのか」

このような声が観光客から聞かれることがありました。

事実、保津川にはプラスチックのゴミが浮遊しています。

そこで船頭さん2人によるゴミ拾いが始まりました。

最初はたった「2人」で川を掃除し始めたそうです。

「そんなことをしても意味がない」

「自分の川なのだから当たり前だ」

といった周りの批判的な声も当初は多かったと言いますが、そんな中でも止めることはありませんでした。そして次第にNPO団体ができ、亀岡市という行政が協力するようになりました。

ついには「海ゴミサミット」を「海のない内陸部の都市」として初めて実施することとなり、国連関係者を招致するまでに至りました。

そして今、亀岡市が取り組んでいるエシカルなことなどについてもご紹介をいただきました。今では全国で唯一「プラスチックごみゼロ宣言」を発令し、市内でプラスチックバッグを提供することが「条例で禁止」されています。

2人の船頭さんのゴミ拾いがなぜプラスチックごみゼロ宣言まで広がっていったのかというお話、ぜひみなさまにも聞いていただきたい内容です。

また夏には保津川下りさんで保津川エコな川下りなどエシカルなイベントなども行っているのでよろしければ皆さんも参加してみてください。

最後に・・・

天候の都合上当日ご案内はできませんでしたが、この時期の亀岡は、写真のような「丹波霧」がとても広がっています。

亀岡は盆地という地形や、回りを山に囲まれていることなど地理的条件から、霧で有名な街なのです。市民からは「洗濯物が干せない」と毛嫌いされている霧ですが、メリットもあるんです。

その1つに、野菜が美味しくなること。丹波の霧で冷やされ、濡らされた野菜たちは甘みを増すと言われています。(京都の京野菜の7割は亀岡で作られているとも言われています。)

京都の野菜をおいしくしている丹波霧ですが、残念ながら近年あまり発生していないとも言われています。そう、気候変動の影響です。

私はこの丹波霧を残したい。そこで育てられる美味しい野菜や美しい保津川を残したい。そう思っています。

この記事を書いた人

ゆみこはん

メディカルアロマセラピスト
女子栄養大学食生活指導士

2022年京都の田舎に移住、脱ステ完了・無添加歴7年。 男の子と女の子の2児の母。第1子である息子は出産後すぐ、身体中にアトピーを発症。 息子のアトピーを治すためオーガニックや自然療法について勉強する最中、何気なく買っていたスーパーの人参や卵が地球の環境を壊していることを知り衝撃を受ける。 以来個人の取り組みはもちろん、子どもたちの地球を守りたいという思いで、1000人に1歩でも取り組んでもらえるようエシカルな活動を展開。