オランダからエシカルビューティーズの活動に参加させて頂いております、Rikaです。
今回、エシカルビューティーズの勉強会で、欧州グリーンディールとオランダのエシカルアクションについてのセミナーを開催しました。
欧州グリーンディールとはどんな目的で、どのような目標に向かって欧州連合各国が取り組んでいるのか、また、現在の進捗状況についてお話させて頂きました。
また、欧州グリーンディールへの直接的な関わりのあることではありませんが、私の住むオランダでどのようなエシカルアクションが行われているか、実際にオランダ国内で報道されたことをもとに簡単に紹介させて頂きました。
【欧州グリーンディールとは】
2019年に、欧州委員会は欧州グリーンディールという施策を発表しました。これは、人々の健康と幸福の向上を目指した取り組みです。
地球環境を保護しながらも経済発展を目指す政策が打ち出されています。2030年までに1990年比で少なくとも55%の温室効果ガスの排出削減が当面の目標ですが、2050年までに温室効果ガス排出量実質0、つまりカーボンニュートラルを目指しています。
その為に、各産業、建築、移動手段などの様々な分野でのエネルギー政策の見直しと取り組みがEU各国で行われています。私の住むオランダでは、2023年の上半期の発電量のおよそ46%が風力や太陽光などの再生可能エネルギーによるものでした。
【オランダの公共交通機関】
オランダでは、温室効果ガスを削減するため、様々な公共交通機関に関する政策を打ち出しています。例えば、2017年以降全ての鉄道のエネルギー源は、再生可能エネルギーに転換されています。
バスはまだ化石燃料を使用しているものもありますが、順次再生可能エネルギーを使用したものに転換されており、2025年には新規に導入するバスは全て100%再生可能エネルギーの使用をしなければならないとされています。2030年には、新規だけに限らず全てのバスが温室効果ガスの排出量を0にしなければなりません。水素エネルギーも公共交通機関に導入することが検討されています。
ただ再生可能エネルギーに転換すればよい、というわけではなく、エネルギー利用の効率化、節エネルギーも協定を結んでいます。鉄道に関しては、毎年2%のエネルギー使用量の削減という指標があります。
オランダの公共交通機関は、アムステルダムのような都市部であっても日本のように頻繁に走っているわけではありません。そもそも人口規模がアムステルダムと東京では比較できないほどに異なります(2023年時点で、アムステルダム市の人口は約92万人)。また、遅延や故障も多く、ほんのたまにですがストライキによる運行停止もあります。それでも温室効果ガスの削減には公共交通機関を充実させることが必要だと政府も市民も考えていますので、今後は運行本数の増加なども検討、実行されるようです。
また、新規で建設される駅などの施設にも、太陽光発電パネルを設置し、エレベーターや照明にかかるエネルギーを発電することになります。建築資材に関してもよりサステイナブルなものが採用されます。
(参考:オランダ政府ウェブサイト)
【グリーンディールとヘルスケア】
病院やその他の医療施設は、大量のエネルギー、食品、資材を使用するため、環境汚染も引き起こします。医療の分野でも炭素排出量を削減するなど、よりサステイナブルなものにする為の協定が定められています。
オランダ政府では、単に炭素排出量を抑えるだけではなく、人々がより健康的な生活に送れるようにするための施策も盛り込んでいます。気候変動による自然災害や、環境汚染により健康を損なう人が増えているからです。医療機関だけではなく、政府、民間企業などが人や社会、地球の健康を持続させることを目的とした取り組みです。
その3本柱は以下の項目です。
●グリーンでカーボンニュートラルな医療への移行を達成
●予防を重視し、さらに人々の健康を増進することに重点を置く
●気候や環境への悪影響を軽減
ヘルスケア分野におけるグリーンディールに署名した医療や介護機関などの参加者は、下記の項目にコミットし取り組みます。
●より良い栄養、環境、ライフスタイルへの介入を通じて医療消費者と医療提供者の健康を促進
●ヘルスケア分野による環境および気候関連の影響についての知識と認識を高める
●2050 年までにカーボンニュートラル達成
●材料や資源の使用量、および残留廃棄物量の削減
●医薬品による環境負荷の軽減
(参考:オランダ政府ウェブサイト)
このように、ヨーロッパやオランダでは地球温暖化や環境問題に対して、様々な対策が取られています。政府だけではなく市民も関心を持って取り組み、さらにその動きが世界に広がっていくことが理想だと思います。