オランダからエシカルビューティーズの活動に参加させて頂いております、Rikaです。
オランダは欧州の小国で、風車や木靴、チューリップが有名ですが、動物に優しい国としても知られています。
動物保護のための制度や法律もかなり整備されていて、技術開発にも優れており、人々の意識もとても高く、これらのことから動物は人間と対等な関係であるという考えが浸透しているように思います。
ペットや家畜だけではなく、野生動物や海洋生物などに対して、その生態や生きる権利を保護することが大切だと考えられています。
ここでは、オランダのアニマルウェルフェアに関する制度や取り組みについて紹介したいと思います。
【Beter leven品質マーク】
オランダの乳製品、食肉、その他の動物性の食品に、Beter Levenという文字と、その下に星マークがついているラベルが見られることがあります。
これは、その製品に関わる動物がどの程度適切に扱われたかを消費者に示すものです。このラベルをもとに、消費者自身が動物に優しい製品の選択をすることが可能になっています。
これがそのラベルです。星の数は1~3つで、多いほど動物が自由度の高い生活を送っていたことになります。
(引用元;Dierenbescherming(動物保護協会) )
こちらはオーガニックの卵のパッケージですが、三ツ星のラベルがついています。
このラベルを商品に貼付する場合、その商品の全ての関係者が独立した認証機関により審査されます。農家や食肉加工業者はもちろん、販売者も検査の対象となります。
そして、認証された後も定期的に検査を受けることとなりますが、その際にもし基準に反するような動物虐待などの兆候があった場合、厳正かつ公平な方法や規則に則って調査され、実際に違反行為があった場合には制裁対象になることもあります。
オランダ動物愛護協会は、このような形で動物たちに優しい畜産を促進するだけではなく、食肉を減らすべくベジタリアンやビーガンのライフスタイルも促進しています。
【動物警察と動物救急車】
オランダの警察への通報番号は112ですが、それとは別に動物警察への通報番号として、144が設定されています。
もし怪我などで苦しんでいる動物が目の前にいて、緊急を要する場合には通常の警察の番号に連絡することになります。
最近、近所で起こった事例ですが、鳥がふらつきながら歩いているのを見かけたので、緊急を要すると判断し警察に連絡したところ、専門チームと共に現場にて対応し、後に鳥インフルエンザの発症が発覚しました。
動物警察は、主にペットや家畜を対象とした刑事犯罪となり得る案件を取り使っています。具体的には、先にも挙げた動物虐待、放置を初め、他人の所有する動物に危害を加える、魚や野生動物の密漁、動物の巣を破壊する、などの行為が対象となります。
以前にニュースで見た記事によりますと、誰かが野生のはりねずみにいたずらをして苦しめているところを発見した人が動物警察に通報、刑事事件として捜査を開始したということです。
家畜やペットに対しての犯罪に関しては、オランダ食品消費者製品安全局や、国家動物保護検査局と連携して捜査します。
一方、動物救急車は動物の怪我や病気に対して応急処置を施す、つまり人の救急車と同じような役割を果たします。動物救急車は協会によって運営されており、費用は寄付によって賄われ、動物の応急処置の訓練を受けたボランティアによって活動が行われています。
応急処置を受けた動物たちは、最寄りの獣医師や診療所に搬送されます。
その他にも多くの活動があり、迷子になったペットへの対応、有料で予約制ですが、ペットを獣医やトリミングに連れていく際のペットタクシー、錠剤の投与や包帯を巻くなどのケアなども行っています。
(参考)
【ミツバチのフードバンク】
世界一大きな花市場があり、世界の花の流通量の6割が集中していて、「世界の花屋」とも呼ばれるオランダですが、街中にも春夏にはお花が溢れ、私たちの生活に欠かすことができません。
そんなオランダですが、実は年々お花が減ってきており、花粉の媒介者であるミツバチが激減しているという深刻な問題があります。
ミツバチのような花粉媒介者がいてくれるおかげで、野菜や果物を育てることができるのですが、その花粉媒介者となる昆虫が過去30年間で、なんと76%も減少してしまったのです。
私たちの食糧供給が危機にさらされるだけではなく、昆虫を食物としている小動物のエサが減少することにもつながります。
昆虫の種の数も減少し、珍しい昆虫も見られなくなってきています。
そこで4月22日に全国種まきの日というのを設定して、ミツバチなど昆虫に餌を与えることを目的としてお花を増やす、フードバンクキャンペーンが開催されます。
この日の為に、環境団体や花粉媒介者の保護を目的として活動している団体から無料で花の種が配布されます。
多くの人が庭やバルコニー、沿道などに花の種をまくことで、花が咲きミツバチなどの昆虫が暮らしやすい土地になることを願っています。
ここで紹介させて頂いたことはほんの一例で、オランダにはこの他にも様々なアニマルウェルフェアに関する活動があります。
どの活動も、市民が積極的に参加していることが特徴だといえます。
スーパーでの買い物、テレビのコマーシャル、雑誌の記事など、私たちの身近なところで、アニマルウェルフェアに関する情報に触れることがありますし、一般市民が動物など生き物や自然の暮らしを良くしようと、積極的に寄付やボランティア活動を行っていることがとても印象的です。
私もいくつかの動物保護団体の会員となっていますが、これからも積極的に支援、活動への参加をしていきたいと思います。